【目的】本研究では、肝臓における薬物の胆汁排泄モデルとなるin vitro培養システムの開発を目指し、高純度シリカファイバーからなる三次元培養担体Cellbed®を用いて、肝がん由来細胞株であるHepG2細胞(MRP2を発現する)とPLC/PRF/5細胞(BSEPを発現する)の三次元培養を行い、肝臓における薬物動態評価系の検討を行った。
【方法】ヒト肝細胞のモデル細胞としてHepG2細胞、PLC/PRF/5細胞をそれぞれCellbed(日本バイリーン社製)に播種し、7日間培養した。その後、単層培養を行った細胞を対照として、HepG2細胞ではMRP2、PLC/PRF/5細胞ではBSEPの免疫染色を行い、胆汁排泄トランスポーターの発現を共焦点レーザー顕微鏡で観察を行った。
Cellbed培養したHepG2細胞のMRP2排泄活性を、モデル化合物を用い検討した。モデル化合物としては、5(6)-Carboxy-2`,7`-dichlorofluorescein diacetate(CDFDA)を用いた。CDFDAは細胞内で取り込まれた後、蛍光物質である(6)-Carboxy-2`,7`-dichlorofluorescein (CDF)に加水分解されMRP2より排泄される。また、MRP2排出活性の特異性を検討するため、MRP2阻害剤MK-571を用いた阻害時試験を行った。
【結果】免疫染色の結果より、Cellbed培養したHepG2細胞、PLC/PRF/5細胞では単層培養に比べ、胆汁排泄トランスポーターの発現の増加が確認された。また、CDF排出活性試験では、阻害剤を添加していない条件では、CDFの排出が時間依存的に増加していたが、阻害剤を添加すると時間依存的な排泄が認められなかった。
【結論】Cellbedを用いて肝がん細胞株を三次元で培養することで、胆汁排泄がin vitroで模倣できている可能性が示唆された。これにより、創薬の際の候補化合物の薬物動態の評価系として有用であることが期待できる。