【目的】臨床での冠動脈石灰化評価には通常CTが用いられるが、石灰化亢進部位を検出する18F-NaF PETも近年普及しつつある。創薬においては、その薬物の作用メカニズムに鑑み、最適な薬効評価方法を選択することが重要であるが、特に臨床試験において画像診断実施の妥当性を判断するためには、前臨床で同じ画像診断法を検討するのが望ましい。本研究では、冠動脈石灰化のモデル動物である部分腎摘マウスにおいて、小動物用マイクロCTと18F-NaF PETを実施し、心臓石灰化評価の可能性を検討した。【方法】冠動脈に高度な石灰化をきたす病態モデルとして、高リン・カルシウム食(加速食)負荷5/6腎摘出DBA/2Jマウス(Nxマウス)を使用した。Nxマウスは14週間加速食で飼育し、対照群としてはsham-operationマウスに標準食を与えた。食餌負荷1週間後より、胸部のマイクロCT画像を呼吸・心拍同期で経時的に撮影し、画像解析により心臓の石灰化量を算出した。18F-NaFはCT撮像の翌日静脈内投与した。二次元PET撮像後、心臓を摘出して放射能を測定した。心臓は乾燥させ、比色分析によりカルシウム含有量を測定した。【結果・考察】CTにより、加速食負荷の2週間後から心臓の石灰化が検出されたが、加速食負荷の1週間後では明らかな心臓石灰化は認められなかった。PETでは、対照群よりもNxマウスの心臓周囲で高シグナルが認められたが、二次元PETの限界として、胸部の正常骨に対する18F-NaFの生理学的集積が重なって見えるため、心臓の輪郭特定は困難であった。CTを画像解析した心臓の石灰化量及び摘出心で測定した18F-NaF集積は、カルシウム含有量と良好な相関を示した。18F-NaF集積については高い感度と良好な直線性が認められた一方、CTについては、初期の微小石灰化の検出能に限界があることが示唆された。ただし、石灰化の進展過程は個体差が大きいことから個体毎にモニターするのが望ましく、その観点では経時的に定量評価が可能なCTが有用である。薬効評価の観点からは、初期病変である微小石灰化を抑える薬効については18F-NaF集積、石灰化病変の進展を抑える薬効についてはCTによる定量評価が適していると考えられ、前臨床でこれらの評価法を検討することにより、臨床試験での画像診断の妥当性を考察できると思われる。