【目的】スフェロイド内部細胞の個々の細胞を簡便かつ精密にライブイメージングする技術を開発する。【方法】生きたスフェロイドの培養液に蛍光色素を添加し細胞間隙に拡散させた。この蛍光シグナルを共焦点顕微鏡で観察した。【結果】スフェロイド内部の生きた細胞の構造を、細胞間隙の蛍光シグナルに囲まれたシルエットとして精密に観察することができた(陰性造影法:Tanaka S, Sci. Reports, 2020)。この観察技術によって、薬剤刺激に応じた細胞の形態変化や物質透過性変化のみならず、エンドサイトーシス、細胞の生死、細胞分裂などの細胞活動を観察することができた。さらに細胞株によって細胞充填パターンに特徴があることを定量的に評価し、スフェロイド内に取り込まれた培地由来の異物を観察することもできた。【結論】今回開発した技術はスフェロイドからの情報回収量を従来から飛躍的に向上させた。これはスフェロイドを用いた実験系や創薬において評価効率を上げるとともに、スフェロイドの品質管理や再現性にも貢献すると考えられる。