Microphysiological systemの定義がFDAのウェブサイトに公開されている [1]。このようなシステムは、3D培養モデルやオルガノイドと共に広義に再構築ヒト臓器モデルと定義され、創薬への活用法が提唱されている[2]。MPSを創薬に活用する上で重要な点として、1) MPSを可能とする技術に対する最低限の理解、2) MPSの開発者とユーザーである製薬企業の研究員のコミュニケーション (特に、context of useの共通理解)、3) MPSの早期評価と使用感の開発者へのフィードバック、が挙げられる。これらを推進することで、MPSをより医薬品開発のニーズに沿ったものにカスタマイズすることができる。
MPSの技術開発が今後も推進されるのと並行して、医薬品の研究開発に実質的に貢献する実用段階へと移ってきていることが示唆されている [3]。今後は、オートメーション技術の活用によって高品質で多検体評価を可能にすること、さらに規制当局との対話によってMPSで取得したデータを申請に用いる際の採用要件に関する議論を深めることが重要である。これらの活動を進めることで、MPSはさらに医薬品の創製に貢献できると考えられる。
[参考文献]
[1] U.S. Food and Drug Administration. “Advancing Alternative Methods at FDA”:‹https://www.fda.gov/science-research/about-science-research-fda/advancing-alternative-methods-fda›, accessed 11th April, 2022
[2] Tetsuka et al., Biol Pharm Bull 43 (3); 375-383 (2020)
[3] Vulto and Joore, Nat Rev Drug Discov 20; 961-962 (2021)
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