[SA-01] ラットにおける抗腫瘍薬誘発肝類洞閉塞症候群モデルの作製

Author: 〇見尾光庸、原(野上)愛、神田翔磨、河村忠、塚正洋平、岡本文
Affiliation: 就実大学・薬学部・薬効解析学分野
Abstract: 【緒言】肝類洞閉鎖症候群(SOS)は、骨髄幹細胞移植後に併発する重篤な合併症の1つであり、busulfan(BU)やcyclophosphamide(CY)などの前処置薬が原因になると考えられている。現在のところ有効な治療法や予防法はなく、適切な抗腫瘍薬誘発SOSの動物モデルも確立されていない。そこで、従来よりSOSモデルの作製に使用されているmonocrotaline(MCT)誘発SOSモデルと骨髄移植の際に用いられるBU+CYを投与した際の肝臓の変化について検討した。
【実験方法】MCT単独群では6週齢の雄性Wistar系ラットに対してMCTを単回経口投与した。BU+CY群では、BU20㎎/㎏を4日間投与後にCY40㎎/㎏を2日間、いずれも腹腔内投与した。MCTとBU+CYを併用した群では、投与初日に単独で肝機能に影響を示さない用量のMCTを経口投与するとともにBUを4日間投与し、続いてCYを2日間連続で腹腔内投与した。薬物投与から10日後に血液ならびに肝臓を採取した。肝臓の標本はHE染色並びにMasson染色により観察を行った。生存した一部の動物について、右心耳より硫酸バリウムとホルマリンの混液を灌流し、動物用CTを用いた肝血管の画像化をおこなった。
【実験結果】MCT単独投与では、25㎎/㎏および50㎎/㎏では死亡例はなく、100㎎/㎏では投与後3日目より死亡例があり、最終日まで生存した動物は30%であった。MCT100㎎/㎏の場合のみ、ALT,ASTは有意に上昇し、赤血球数、白血球数、血小板数の低下も顕著であった。肝臓の標本を観察したところ、MCT50㎎/㎏でも類洞閉塞が認められ、100㎎/㎏では肝全体が線維化していたが、特に中心静脈付近が顕著であった。BU+CY群は90%の動物が生存し、生存した動物では白血球数・血小板数が顕著に低下したが、肝機能の低下は認められなかった。単独では死亡例のなかったMCT50㎎/㎏をBU+CYと併用したところ、最終生存率は37.5%となり、生存した動物では有意な肝機能の低下と骨髄抑制が認められた。肝組織切片では、BU+CY群は類洞の拡張と中心静脈内皮の脱離が観察された。MCT+BU+CY群では、軽度な肝実質細胞の萎縮と中心静脈内皮の脱離など、MCT群の特徴とBU+CY群の特徴の両方が認められた。造影剤である硫酸バリウムとともに灌流固定した肝臓を動物用CTで観察した結果、肝血管の閉塞を画像化することができた。
【考察】今回の実験より、MCTによるSOSモデルは類洞の閉塞が顕著である一方で、BU+CYでは類洞の拡張と中心静脈内皮の脱落がより顕著であるという違いがあることから、両者によるSOSは組織学的な特徴が異なっていることが示唆された。

ラットにおける抗腫瘍薬誘発肝類洞閉塞症候群モデルの作製


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