[1-P1-PM04] 基底膜分子NephronectinはRGD領域を介してエナメル芽細胞の分化制御に関与する

Author: 〇水田 敢士1、吉崎 恵悟1、宮崎 佳奈子1、鮒田 啓太1、湯田 智美1、田 甜1、傅 堯1、川原 純平1、福本 敏2、高橋 一郎1
Affiliation: 1九大 院歯 矯正、2九大 院歯 小児口腔
Abstract: 歯の発生は上皮–間葉相互作用によって開始されることが知られており、上皮–間葉間に存在する基底膜はそのシグナルを仲介する足場として重要である。我々は、上皮–間葉相互作用によって形成される器官に特異的に発現する基底膜分子Nephronectin (Npnt)に着目し、歯の発生における役割を解明することを目的として以下の検討を行った。胎生14日齢ICRマウスより摘出した各種臓器および胎生11日齢から生後7日齢におけるマウス歯胚を用いて、RT–qPCR法および免疫染色法にてNpntの発現パターンを解析した。結果として、Npntは歯、肺および腎臓に強く発現し、歯においては特に形態形成期に強い発現を認め、基底膜に局在していた。また、Npntを培養皿にコーティングし、Npntの構成因子であるRGD 領域と拮抗するRGDペプチドを添加後、歯原性上皮細胞株M3H1 を播種したところ、RGDペプチド濃度依存的に細胞接着能が低下した。これらの結果から、Npntの細胞接着活性部位はRGD領域であることが示唆された。さらに、Npntの構成因子 EGF like repeat 領域及びRGD 領域を欠失させた Npnt–ΔEGF及び Npnt–ΔRGD 発現ベクターを作製し、各領域の機能解析を行った。RGD領域が歯原性上皮細胞の分化に与える影響を解析するため、M3H1に全長NpntおよびNpnt–ΔEGFを過剰発現させると、エナメル芽細胞の分化マーカーであるAmeloblastinの発現上昇を認めたが、Npnt–ΔRGDを遺伝子導入するとその変化が認められなかった。これらの結果から、基底膜分子Npntは歯の発生において形態形成期の基底膜に局在し、RGD領域を介してエナメル芽細胞の分化制御を行っていることが示唆された。

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