【目的】臨床研究法及び倫理指針では、研究の品質管理としてモニタリングを実施することが求められているが、昨年度当センターで実施したAMEDシーズ開発・研究基盤プロジェクトによる調査では、非臨床研究中核病院におけるモニターの配置は、兼任を含めても半数に満たない状況であった。そのため、自施設に所属するモニターの有効活用や新たにモニターを養成することで、臨床研究の品質を確保する必要がある。本学では臨床研究法の施行に伴い、2017年度より倫理指針下で実施される侵襲を伴い介入を行う臨床研究(以下、臨床研究)のモニタリングを専任モニターから、「研究者自らが行うモニタリング(以下、研究者モニタリング)」に移行する取り組みを始め、専任モニターは特定臨床研究のモニタリングに注力する方針とした。本調査では、この取り組みを振り返りモニタリング教育支援体制について検討したので報告する。
【方法】2017年4月から2023年3月に本学の研究者が研究責任(代表)者として実施した倫理指針下の臨床研究72課題について、研究者モニタリング移行への取り組み、支援内容を振り返り、今後の教育支援体制に関して検討した。
【結果・考察】2017年度に、研究者モニターの資格要件、教育プログラム、専任モニターによる研究者モニタリングの支援内容を決定し、学内教職員に向けたモニター講習会を開始した。また、研究者モニターに向け、「モニタリング報告書作成マニュアル」を作成し、「モニタリング報告書」と「モニタリングチェックシート」のひな形を提供し、さらに数回のOJTを行うことで円滑なモニタリングの実施を支援した。その結果、2022年度には93.8%の臨床研究課題が研究者モニタリングへと移行された。モニタリング未経験者であっても、モニタリング資材の提供や実施時期の連絡、モニタリング報告書の作成支援などを通じて、継続して研究者モニターとして活動できる体制が構築でき、2022年度には研究者モニターは24名、研究者モニター平均経験月数は35.3か月となった。
【結論】研究者モニタリング移行においては、研究者モニター資格要件の設定、モニター講習会による研究者モニターの教育、モニタリング資材の提供などによる教育支援体制の構築が有効であった。今後は、経験を重ねた研究者モニターがより自立してモニタリングを実施できる体制構築が望まれる。