【目的】
大うつ病性障害における不眠に、ベンゾジアゼピン類(以下BZ)を処方されていることが多いが、BZは精神依存、身体依存を形成しやすく、不必要な処方をしないこと、使用も短期にとどめることが重要(厚生労働省2022)とされている。そこで、当院で使用されている主な抗うつ薬、ボルチオキセチン(以下VRX)、デュロキセチン(以下DXT)、エスシタロプラム(以下ESCIT)、ベンラファキシン(以下VFX)、ミルタザピン(以下MIRT)の6か月以上処方された期間の、併用薬(アルプラゾラム、クアゼパム、ニトラゼパム、フルニトラゼパム、ブロチゾラム、ロラゼパム)について明らかにすることにした。
【方法】
当院の2020年1月1日~2022年12月31日の処方データから、6か月以上当該抗うつ薬を処方されているものを対象とし、当該抗うつ薬毎の使用期間に対する、併用薬の併用期間を割合と、併用の開始、中止について調査した。処方期間については月単位とし、抗うつ薬を2剤以上併用している場合はその期間を除外した。倫理的配慮として、当院の倫理委員会での承認を得た上で調査を実施した。
【結果・考察】
対象件数は644件であった。内訳はVRX:79件、DXT:98件、ESCIT:210件、DXT:66件、MIRT:191件であった。また、併用薬の併用期間の割合毎の件数は(100%常時併用:99.9%~0.1%:0%併用なし)はVRX(15:11:53)、DXT(9:22:67)、ESCIT(33:25:152)、VFX(17:9:40)、MIRT(58:39:94)であった。また、併用期間の割合が99.9%~0.1%のうちの(併用開始:併用中止)の件数は、VRX(0:9)、DXT(7:10)、ESCIT(7:14)、VFX(5:5)、MIRT(11:21)であった。
当該抗うつ薬毎の当該併用薬は、100%(常時併用)と0%(併用なし)に二極化していると考えた。また、併用なしの割合が高いが、次いで常時併用の割合が高いことから、当該併用薬は併用される割合は低いものの、併用が常時必要な患者、もしくは漫然と処方されている患者が一定数存在する可能性が考えられた。また、VRXは、「併用開始」が0件であったことから、併用薬の新たな併用を抑制することが期待できると考えた。
【結論】
本研究は処方データの調査であり、実際の服薬状況や、診断、当該薬剤以外の服薬状況は調査されていない。しかし、今後本研究をより確度の高いものにしていくことで、抗うつ薬の治療の、併用薬を整理し最適化する一助となるものと考えた。