【緒言】造血幹細胞移植では輸血療法は不可欠であり,急性腎障害(AKI)を発症する.今回,臍帯血移植後の輸血療法からの鉄過剰症によりデフェロキサミン(DFO)を投与され,同時期に多剤耐性緑膿菌(MDRP)の治療のためコリスチン(CMS)を併用された症例のAKIを経験した.DFOによるAKIのliterature reviewとともに報告する.
【症例】36歳男性【既往歴】小児喘息【アレルギー歴】CT造影剤で気分不快
【現病歴】X年4月にPh-ALLと診断され,寛解導入/地固め治療実施したが8月に骨髄検査にて芽球が検出され再寛解導入(Hyper-CVAD)実施,同年10月実兄よりHLA一致同種幹細胞移植実施した.翌X+1年1月末梢血に芽球出現し再発,Ponatinib開始するも同年3月に再度末梢血に芽球出現し再寛解導入(Hyper-CVAD)実施となり,同年5月移植後再発Ph-ALL寛解期に対して臍帯血移植目的に入院となった.
【経過】X+1年5月,前処置(Flu+Mel)までの間デフェロシラクス1000mg内服していた.その後,臍帯血輸注(day0),day47に生着となった.day65に急性GVHD(Gr3)と診断されるもmPSL1mg/kg/day投与により速やかに改善した.day91にMDRPによる精巣上体炎のためCMS 100mg q12h 開始となった.CMS投与中は腎障害出現なくday117で投与終了した.day124に再度発熱し,血液培養および尿培養よりMDRP検出したため,day127よりCMS同量で再開となった.day133にデフェロキサミン開始となったが,併用後より血清Creの上昇を認めday132に1.36 mg/dL,day141で2.11 mg/dLまで上昇しC同日CMS中止,その後もCre上昇が継続しday145にDFOも中止し,day146の血清Creは2.70mg/dLへ上昇した.DFO中止後、Creは速やかに改善しday164でCreは投与開始値まで改善した.
【Literature review】PubMedを 用い期間を1966~2023年2月,検索用語は"deferoxamine"[Mesh] AND ("renal insufficiency" [Mesh] OR "creatinine" [Mesh] OR "nephrotoxicity" [All Fields])とした結果6報が合致した.本症例/既報ともDFOは10mg/hr/kg以上で投与されていた.
【考察】CMS中止後もCre上昇を認めたこと,円柱尿が観察されていないこと,一方DFO開始後のCre上昇,中止後の速やかなCreの減少,及び投与速度等の要因から今回の急激なCre上昇はDFOによるAKIと考えられた.