治験・臨床研究に品質マネジメントシステムの概念が導入され、信頼性が高く「目的に適った」臨床データを、リスクに基づいて効率的に取り扱うことが求められるようになっている。臨床現場のデータの収集は、紙の症例報告書(CRF)から、EDCで行われるのが一般的となり、電子カルテ、ウェアラブルデバイスといった多様なデータとの連携も可能となっている。最近ではCOVID-19の感染拡大を契機に、電子的な同意取得(eConsent)、電子カルテ連携、ウェアラブルデバイス等からのデータをEDCに統合させつつ、更に、オンライン診療を含めて治験・臨床研究のプロセスを分散させることで、研究参加者が実施医療機関に来院せずに、臨床開発を可能とする分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trial: DCT)についても、国内外でガイダンスが発出され実装経験が報告されている。
 研究の目的に合致したデータの収集を基盤としながら、研究を運用する際の効率化につなげるデジタルヘルステクノロジー(DHT)の利用とデジタル化によるプロセスの行動変容、即ちデジタルトランスフォーメーション(DX)を、時流に遅れず正しく理解し導入することが求められる。
 本シンポジウムでは、治験・臨床研究の根幹をなす臨床データマネジメントの科学性と倫理性の二つの担保に加え、複雑化するDHTと、データのリスクの可視化、人工知能・機械学習、ロボットによるプロセスの自動化(RPA)といったクリニカルデータサイエンス(CDS)の手法の進化など、臨床データ駆動型のDXを研究関係者全員がよく理解し活用するため、どのように思考するか、品質マネジメントシステムの実装を含めて組織形成にCDSの手法をどう導入し実践していくか、ガイダンスや事例を含めて紹介する。