一般診療では、多くの薬物治療が行われており、近年も種々の治療薬が開発されるとともに、様々な診療ガイドラインが作成され、診療の内容が変化してきている。専門性も高くなってくることで、各科の診療内容に隙間が生じるとともに、複数の科に受診することによる弊害も生じている。専門科ごとに診療は行われているが、それらにまたがる横断的な診療は十分に行えていない。また、複数科が診療することにより、処方薬剤が増え、ポリファーマシーとなる上に、アドヒアランスにも影響を落としている状況がある。
臨床薬理学では薬剤について横断的に取り組むことで、各分野における専門医とは異なる視点をもつことができている。それに加え、薬剤に関する知識をつけていることで、横断的に起こる問題への対処を行いやすい存在である。一方、ポリファーマシーでは、薬物相互作用や投与の必要性を考慮した薬剤の調整を必要としており、加えて多くの薬剤服用でのアドヒアランス低下も存在する。このような状況への対応についても、臨床薬理学の視点は有意義なものと考える。薬剤に関わる横断的介入が行われることで、個々の患者にとっての良い医療の提供に結び付くのではないかと考える。
他方、若手医師では薬剤の使用方法や調整に関しての知識に乏しい側面が見受けられる。特に類似薬の使い分けや頻用薬に関する知識・情報が得にくく感じている。そのため、多くの薬剤使用で薬剤師に依存する傾向もあるが、患者を診ていく点でいえば、薬剤知識をきちんと獲得し、使用できるようにできることが望まれる。薬剤に関する若い医師のニーズに合わせ、臨床薬理学に触れる環境を提供できるとよいのではと感じている。
臨床薬理学で得られる知識は専門を特定せず、薬剤を使用するどの医師にも必要とされるものと考える。診療現場のニーズに合わせた情報提供が可能となることにより、各々の医師が関心を持ち学ぶことも増え、興味を持つことにもつながっていく。さらに臨床薬理学でのテーラーメイド医療を現場に即した実践的手法で行えるようにすることで、より多くの患者へのよりよい医療を提供できるようになっていく可能性はある。そして、臨床薬理学が一般診療に組み込まれていけるとよいのではないかと考える。