【目的】B型肝炎(HB)は、性感染症の1つであり、男性間性交渉者(men who have sex with men, MSM) に感染頻度が高いことが知られている。特に、HIV感染者が罹患すると、慢性化しやすいことが知られており、感染・慢性化抑止のため、ワクチン接種にてHBs抗体を獲得することが重要である。一方、HIV感染者は、免疫機能不全のため、標準の1シリーズ(0, 2-4w, 6m, 合計3回接種)では、非HIV感染者に比較し、抗体獲得能・維持能が低いことが知られている。今回、本人の同意・希望にて4回目のHBワクチン接種(ビームゲン・ヘプタバックス)を施行したHIV感染者の獲得した抗体価について、後方視的に診療記録を用いて検討した。【方法】当院に通院中のMSM-HIV感染者で、上記1シリーズを接種後、2009年1月より2023年8月までに、4回目を接種した6人を対象とした。HBsAb≧10 mIU/mLを陽性とした。【結果・考察】全員男性、4回目接種時、年齢中央値41歳 [IQR:35-46]、全員HIV治療薬にて加療中でHIV-RNA定量は50コピー/mL未満、CD4数498/μL [452-790]であった。HBワクチン4回目接種2-3ヶ月後、4名が、HBsAb184mIU/mL[17-1615] と抗体が陽転化した。1シリーズ後に抗体獲得し、その後減衰陰性化した3名全員は、4回目接種後、抗体価が上昇した。1シリーズ後に抗体非獲得3名のうち2名は4回接種後も抗体獲得できなかった。CDCガイドラインでも、抗体価が陰転化した際は、追加接種を推奨している。1シリーズ後に、抗体が陽転化し、その後減衰陰性化した症例は、4回目の追加接種にて抗体が獲得される可能性が高いことが示唆された。我が国で、HBワクチン接種は保険適応外であり、追加接種の有効性についてのデータは重要である。本研究は、症例数が少なく、今後症例数を増やしさらなる検討が必要である。【結論】MSM-HIV感染者のなかで、1シリーズ接種後、獲得された抗体が陰転化した症例に対して、HBワクチンを追加接種すると、抗体価が上昇する可能性が示唆された。