【目的】
臨床研究の実施に際し、様々な要因により計画時のスケジュール通りに研究が進まず、研究期間の延長を余儀なくされることがある。予定外の研究期間延長は、研究結果公表の遅延のみならず、実施に必要な研究資金や人的リソースの配置などにも影響を及ぼす。研究関係者にとって可能な限り避けたい事態である。本発表では、研究期間を延長した臨床研究とそうでない臨床研究においてどのような違いがあるのかを知るために、期間を延長した研究では実施過程におけるどの行程により多く期間を要しているのか、臨床研究等提出・公開システム(jRCT)に公表された情報を収集し調査した。
【方法】
2023年7月19日時点で、jRCTにおいて研究終了の公表がなされた臨床研究法下で実施される臨床研究のうち、臨床研究法の施行日以降に開始した研究を抽出した。そして、履歴情報に基づき、初回公表日、および最終公表日のそれぞれの時点で公表された詳細情報を入手した。入手には、pythonにより開発したwebスクレイピング・システムを用いて自動収集した。収集した詳細情報のなかで、初回公表日の予定期間から3か月以内に終了した研究(延長なし)と、予定期間から3か月以上を延長した研究(延長あり)の傾向を調査し、研究計画の予定通りの遂行や研究期間の延長との関連を調査した。
【結果・考察】
2023年7月19日時点で研究終了が報告された臨床研究は1179件(特定臨床研究:1121件、非特定臨床研究:57件)であり、臨床研究法の施行日以降に開始した研究は523件(延長なし:378件、延長あり:145件)であった。
延長なし研究/延長あり研究の各行程において要した期間の平均値は、初回公表時点で想定された研究期間:704.9日/841.4日、最終公表時点における研究期間812,8日/1072.9日、CRB承認から研究開始日までの期間:28.8日/52.4日、研究開始から第1症例登録日までの期間:22.8日/135.9日、第1症例登録日から観察終了日までの期間397.8日/441.7日、観察終了日から研究終了日までの期間372.7日/442.9日であった。
【結論】
研究期間を延長した研究では、研究開始から第1症例の登録までにより多くの期間を要していた。今後その他の要素についても検討を行う予定である。