【目的】
発達障害は、通常出生時から罹患し、生涯を通じて続き、身体的、知的または感情的なレベルで個人の発達過程に影響を与える。発達障害の中で治療薬のある疾患は少ないが、注意欠如・多動症(ADHD)の中核症状を軽減するには薬物治療が有効である。しかし、ADHD治療薬のノンアドヒアランスの割合は13.2%~64%である。そこで、昭和大学発達障害医療研究所に通院中の患者に焦点を当て、発達障害患者が抱える服薬困難の実態を解明し、服薬アドヒアランス向上のために必要な支援内容を把握することを目的とし、研究を実施した。
【方法】
2023年1月から2023年6月までに、昭和大学発達障害医療研究所を受診した18歳以上の患者を対象とした。服薬実態に関するアンケート調査を行い、Excelを用いて記述的に集計した。なお、本研究は「昭和大学における人を対象とする研究等に関する倫理委員会」の承認を得て実施した。
【結果・考察】
200名から回答を得て、同意を得られなかった1名と重複回答であった1名を除いた198名を解析対象とした。定期的に服用が必要な飲み薬は1種類以上と回答した149名(75%)のうち、85名(57%)が服薬を忘れることがあると回答した。紙または電子版のお薬手帳を持っていると回答した患者190名(96%)のうち73名(38%)は活用できていないと回答した。お薬手帳の活用方法として、「医療者との処方内容を共有している」「処方内容を自分で確認している」をあげる回答者が多かった一方、活用できていない理由として「自発的にお薬手帳を見ることがないから」「毎回の診察で必要ないから」が多く挙げられた。
以上より、お薬手帳を医療従事者と患者自身が情報共有するためのツールという認識はあるが、十分に活用できていないことが明らかになった。また、服薬忘れを防止するためのリマインダーや医療従事者に処方薬の効能効果や副作用に関する書き込みを求める回答が多くみられた。
【結論】
発達障害患者が抱える服薬困難の実態と患者が望む服薬支援機能を明らかにした。お薬手帳の普及は進んでいるが、書き込み可能であることや電子版お薬手帳の機能などの周知は不十分である。