【目的】プロトンポンプ阻害薬(PPI)は複数の因果関係不明の有害事象が報告されており、その中の重篤なもののひとつとして横紋筋融解症(RM)が挙げられる。本研究では、本邦の有害事象自発報告データベース(JADER)を用いて、PPIとRMとの関連性を検討し、併せてRM発現の時間プロファイルを評価することを目的とした。【方法】2004年4月から2022年3月までにJADERに登録されているデータで、性別・年齢の不明や欠損などの記載を除いた618,338件を対象とした。対象薬は、PPIのエソメプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、ランソプラゾール、およびP-CABボノプラザンの全5剤とした。有害事象との関連性は年齢および性別で調整したReporting Odds Ratio(aROR)値によって評価した。さらに、RM発現の日数の中央値の算出およびWeibull分布を用いた解析を行い、RMの転帰についても検討した。【結果と考察】RMとの関連性は、エソメプラゾール、オメプラゾール、およびラベプラゾールで認められた。PPI投与後RM発現までの中央値(四分位値)は最小のエソメプラゾールの6.5(2-25)日から最大のオメプラゾールの127(17.5-196)日まで様々であった。Weibull解析の形状パラメータの値からエソメプラゾール、オメプラゾール、およびラベプラゾールは初期故障型、それ以外は偶発故障型に分類された。さらに、RMの転帰はほとんどが軽症であったものの、少数ながら死亡例も報告されていた。【結論】PPI投与時のRM発現は、各薬剤の好発時期を把握しつつ、投与開始から4カ月程度は患者を注意深くモニターする必要性が示唆された。