【背景】昭和大学では、学内に調整事務局を置く初の医師主導治験(肺癌患者対象第二相試験)を実施中である。本治験調整医師代表は実施施設との連携を重視し、連絡を取り合える医師がいる施設を選定していたが、調整事務局と担当CRCとは初対面の施設が大多数だった。そのため治験実施に際しプロジェクトマネージャー(以下PM)は、CRCとの関係構築および、効率的に問題点や疑問などの情報を収集・共有する場として、CRC情報交換会(以下、情報交換会)を定期的に開催してきた。参加したCRCからは「情報交換会は有用である」との意見が得られていた(第43回本学会年会)。
【目的】各実施施設CRCへの調査結果から、情報交換会がどのように治験の品質維持・向上へ寄与したかを考察するとともに、今後の課題についても検討する。
【方法】2023年5月19日~31日に、情報交換会参加経験のある各実施施設のCRC22名を対象にWebアプリによる無記名式アンケート調査を行った。
【結果・考察】計17名(77.3%)から回答を得た。情報交換会参加により「試験の理解が深まったか」、「調整事務局へ相談や問合がしやすくなったか」、「他施設CRCあるいは本治験チームとしての一体感が生まれたか」との問いに対し、「とてもそう思う」、「ややそう思う」と回答した割合は、いずれも94.1%だった。「CRC業務に良い影響があったか」に対して「あった」が88.2%だった。
情報交換会により治験プロトコルへの理解が深まり、PMへの相談がしやすくなった事は、逸脱防止などの一定の効果があったと考える。また、CRC業務や体制について情報交換を行い、本治験実施の難しさや苦労を共有・共感した事がCRC同士の連帯感を生み、モチベーションを維持・向上させ、治験の円滑な実施、質の向上に寄与したと思われる。
一方で「時間を割くのが難しい」との意見もあり、治験の進捗に応じた開催頻度の見直しや内容を随時検討する必要性も求められた。
【結論】情報交換会は、単にプロトコル内容の理解を深めるだけでなくPM-CRCおよびCRC間の関係性を構築し、チームとして一体感を持った治験の遂行や品質維持向上に寄与したと考える。医師主導治験において、自ら治験を行う医師同士のみでなく、支援者であるPMやCRCの連携も非常に重要であることが示された。