【目的】希少疾患の多施設共同患者レジストリ構築研究において、臨床研究の実施体制や実施経験といった参加施設の様々な背景・課題に柔軟に対応しつつ、信頼性確保の方策を実装した中でデータを収集している。今年度、企業への研究対象者個別データ(IPD)の二次利用・第三者提供に対応するため、データ提供の体制整備を進めたが、データ利活用申請者(企業)の訪問調査や、PMDA医薬品レジストリ活用相談の経験を踏まえて、現状の評価と課題について考察を加える。【方法】・既存の手順書は、AMED「患者レジストリデータを活用した、臨床開発の効率化に関わるレギュラトリーサイエンス研究」研究班の提言を踏まえ作成した「レジストリ構築に関する手順書一覧」に従い、DM業務関連文書は機関SOP、EDC関連(システム固有)、DM関連(研究固有)に分類した。申請者の訪問調査の際には事前に提示し、閲覧を希望する文書を確認した。・「提供対象データ、データファイル形式、データステータス、データセットの作成、データセットの送付方法、データ抽出作業報告書による報告」等の内容からなる「レジストリデータ提供業務に関する手順書」を新たに作成し、データ提供の機会ごとに申請者と詳細な内容を協議決定することとした。・PMDA医薬品レジストリ活用相談においては「データ提供手順について」を相談内容の一つとした。【結果・考察】・データ利活用を希望する申請者の訪問調査は2社からのべ5回経験した。機関SOP、EDC関連、DM関連のほぼ全ての文書の閲覧希望があった。・PMDA医薬品レジストリ活用相談の結果、主に1. データステータスは現状のEDC設定を用いて「疑義消失」又は「仮固定」の想定であるが、データ提供は研究実施中に実施され、かつ複数回の提供も想定したうえで協議する。2. 提供時のデータステータスについての要件や採否の基準を規定する。3. システム障害の発生時の対応手順やレジストリデータの品質に影響を及ぼす可能性がある場合の申請者への連絡手順を規定する。といった課題を見出した。【結論】・データ収集の全てのプロセスはデータの信頼性に影響するため、DM業務関連の多くの文書は申請者の品質管理記録の確認対象となる。・データステータスは「疑義消失」又は「仮固定」と想定したが、利活用目的に応じては再検討の必要もある。・システム障害の発生時の申請者への連絡手順は、システムベンダーとの連携が必要になる。