医療職/非医療職を意識するようになったのは、自身がアカデミア研究支援機関(ARO)に就業してからのことであった。それまで製薬会社や開発業務受託機関(CRO)で勤務してきたが、医療職/非医療職を意識して業務を行ったことはあまりなく、医療職でも非医療職でも(資格手当等の措置はあったように思われるが)誰しも得意分野、不得意分野があり、それを互いに補う形でチームを形成し、日々の臨床試験に関する業務を遂行してきた。
ところが、AROに入職後は、同じ職場で働くメンバーから「(自分が)医療職ではない」という言葉を耳にするようになった。当初はあまり意識せず、これまで同様に業務に取り組んできたものの、ふとした時に聞こえるその言葉の意味を、やがて無視できないほど意識せざるを得なくなった。
非医療職だから全く駄目だ、と言われるシチュエーションには、幸いなことに自身の周囲ではまだ遭遇していない一方で、(臨床研究に関する高度な仕事をするのは)医療職であることを示唆する暗黙の了解的な言葉については何度か耳にしたことがある。もちろん、非医療職を貶める意図がないことはわかりつつも、その言葉を聞くとどことなく「非医療職は臨床研究をするにあたって、重要な任務はできず、さほど貢献もできず、または何らかのリスクがある」と思われているのかと考えてしまったことも実際にあった。
しかし、非医療職にもそれまでに各々の世界で培ってきた知識があり、経験があり、スキルがあり、そのスキルを活用して臨床研究に貢献することは十分に可能と考える。また、他の非医療職のメンバーが、未知の世界に戸惑いながらも多くを学習し、必要な専門知識とスキルを身に着け、従来から蓄積された実践知や経験と融合させて、臨床研究支援業務を効果的・効率的に実施している姿を周囲でもしばしば見かける。
このような現状を鑑み、自分自身も非医療職という立場から、非医療職が臨床研究の中で果たす役割とその期待について改めて振り返ると共に、特に臨床研究の質を向上させるために非医療職が現在どのように貢献しているのか、また、今後どういった形で貢献できるのかについて、具体的な事例と共に報告する。