IRB は、人を対象とする研究に倫理的配慮を浸透させるために設立された。この ような研究倫理の考えは、1945 年のニュルンベルク綱領及び 1964 年に最初に作成 されたヘルシンキ宣言に含まれているが、これらに限定されるものではない。米国 では、IRB の必要性が 1960~1970 年代にかけて明らかになったが、その主な原因 は、「タスキギー梅毒研究」(1932〜1972 年)の負の影響によるものである。この研 究の被験者は低所得のアフリカ系米国人男性であり、本人同意なしに研究に登録さ れ、また有効な治療薬が発見された後もその治療を受けることができなかった。そ の結果、1974 年に国家研究法が制定され、1979 年にベルモント・レポートが発表 された。これは、生物医学・行動研究における被験者保護のための国家委員会によ り策定されたもので、人を対象とする研究(HSR)の倫理原則(人格の尊重、善行、正 義)とガイドラインをまとめたものであり、IRB の基礎となるコモンルールに成文化 されている。
保健福祉省(DHHS)には、被験者保護局(OHRP)と食品医薬品局(FDA)の両方が置か れている。OHRP は、連邦政府から助成を受けた研究に対する被験者保護を任務と しているのに対し、FDA はより広い範囲(食品、動物用医薬品及び医薬品、ワクチン 及びその他の生物学的製剤、医療機器など)で公衆衛生の保護を提供している。1996 年の医療保険の携行性と責任に関する法律(HIPAA)で定義される保護対象医療情報 が研究に含まれる場合、HIPAA の規制も考慮し、適用される規制及び方針を遵守し なければならない。
PRIM&R という組織の使命は、教育、会員サービス、資格認定、公共政策構想及 びコミュニティの構築を通じて、研究の実施における最高の倫理基準を推進させる ことである。IRB は被験者保護を保証する責任を負うが、HSR 及び臨床試験を最初 から最後まで実施するには、様々な部門(助成金及び契約、利益相反、コンプライア ンス及び教育など)との調整が必要である。これらの部門は、IRB や研究者とともに、 被験者保護プログラム(HRPP)を構成する。NPO 法人 AAHRPP は、認定を申請し基 準を満たしていると判断した施設に対して、ピアレビューを通じて質の高い HRPP を認定する。AAHRPP は、被験者に対する効果的、効率的かつ革新的な保護システ ムを奨励している。