体軸性脊椎関節炎は「強直性脊椎炎」と「X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」を含む疾患である。体軸性脊椎関節炎治療の目的は、疼痛やこわばりをはじめとする様々な症状をコントロールすること、靱帯骨棘の進行による強直の抑制を目標とすること、最終的には機能を維持し、QOLを最大限とすることである。ASAS- EULARの体軸性脊椎関節炎のマネジメントに関する推奨に基づいたアルゴリズム(2022)およびACR/SAA/SPARTANによる強直性脊椎炎治療の推奨(2019)が参考になる。治療方針を決定するにあたり医師と患者間で共通認識を持ち決定することが必要である。患者教育として疾患による将来的な不安の軽減は重要であり、また喫煙は靱帯骨棘進行のリスク因子であるため、禁煙指導も必要である。運動療法は症状の緩和、関節可動域や姿勢の維持などの効果が期待できる。薬物療法として2000年代初頭までは非ステロイド性消炎鎮痛薬が中心であったが、本邦でも2010年以降強直性脊椎炎に対しては抗TNF製剤が2製剤承認され、より高い治療効果が期待できるようになった。一方病態的には骨増殖は抗TNF治療では抑制できないのではという臨床的な疑問があったが、長期成績が明らかになるにつれ構造破壊抑制効果も示されている。さらに脊椎関節炎ではIL-23/17pathwayが付着部での炎症病態に大きく関与している可能性が示されている。IL-17阻害薬の国際臨床治験が実施され、本邦でも強直性脊椎炎とX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎に対して2017年以降3製剤が承認されている。現在IL-17A, Fに対する抗体製剤が承認申請中である。さらにJAK inhibitor が体軸性脊椎関節炎に有効性が示され2022年に強直性脊椎炎、2023年にはX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎に対して承認されている。一方IL-23阻害薬に関しては臨床的には治療効果が示されず現時点では体軸性脊椎関節炎に対しては無効であると認識されている。これまで本邦ではX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎に対して抗TNF製剤が承認されていない状況であったが、公知申請により承認され、今後本邦でも1製剤が使用可能になる予定である。2010年以降治療薬選択しが増えているが、最も重要なのは診断であり、的確に診断し治療薬を選択することが肝要である。