皮膚科領域ではこの10年で治療のパラダイムシフトが起こった.乾癬では生物学的製剤から始まり,さらにその治療薬による高い効果から病態が明らかになり次の新薬の開発に繋がった.2010年から既存の治療に抵抗性である中等症以上の乾癬患者に対して,生物学的製剤による治療が承認された.乾癬の病態に関与する炎症性サイトカインは主にTNF (tumor necrosis factor) -α, IL(interleukin)-23, IL-17,一部IL-36であり,各阻害薬, 合計13種の製剤が治療薬として使用されている。皮疹への即効性はIL-17 阻害薬,効果の持続性はIL-23阻害薬,関節炎への効果はTNF阻害薬が優れている.さらに低分子医薬品としてPDF4阻害薬やJAK阻害薬,TYK2阻害薬などの内服薬も次々と承認されている.
それは疾患を超えて広がり,アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD),蕁麻疹,円形脱毛症,尋常性白斑など多くの皮膚免疫疾患で新薬の承認や臨床試験が進行している. 2018年には既存治療で効果不十分なADに対して,その病態形成に重要なタイプ2サイトカインに対するIL-4/IL-13受容体阻害薬が生物学的製剤として初めて承認された.さらにL-13阻害薬やL-31受容体A阻害薬が,内服薬としてJAK阻害薬の保険適用が続いている.外用薬としてPDF4阻害薬やJAK阻害薬なども次々と承認されている.
これまでにない優れた臨床効果が得られ,患者のQOL(quality of life)の改善に大きく寄与している.使用にあたっては学会策定の使用ガイダンス等を遵守し,患者背景を考慮した薬剤選択を行う.本講演では主に乾癬やADに対する生物学的製剤による治療において,各薬剤の特性と使用法,使用中の注意点などについて述べる.