免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による循環器関連irAEについて,発症頻度は少ないものの発症すると劇症型心筋炎など致死的となる懸念もあり,当初より注意が促されてきた.当初のペンブロリズマブの適正使用ガイドでは「心筋炎は発症後15日目に発症した1例のみ(<0.1%)」とされていたが,最近では,ICI単剤治療から他のICIや血管新生阻害薬,化学療法との併用療法が主流となり,発生頻度や評価が複雑になってきている.心筋炎,筋炎,重症筋無力症 (MG) などと合わせた評価では,これら関連有害事象はおよそ1%程度とされている.当院日常診療における当科へのコンサルトでは,確かにirAEの市販後調査等で疾患群としてまとめられているように,MGと骨格筋炎に心筋炎が合併した症例のコンサルトを受けることがある.先日も僧帽筋炎とMG様の筋力低下を主体とした臨床像で血清トロポニン値が比較的上昇しているケースで,心筋障害はGrade1相当であった.心筋炎は主体ではなく,他irAEへのステロイドを主体とした免疫抑制治療で循環器的臨床像も同時に改善することが多い.急激な血行動態破綻に陥り死亡するケースは,最近あまり耳にしない.臨床現場では劇症例が減少したのか?それが正しいのであれば,情報が周知され,ステロイドパルスを早期から導入される臨床体制になり,重症化が防がれている可能性を想像する.しかし,依然急激な臨床経過をたどるものもある上,循環器関連irAEは心筋炎,血管炎,心膜炎,タコツボ心筋症,心筋梗塞,血栓症など多岐に渡り,広範な循環器的有害事象に備える必要がある.また,ステロイド減量中にirAEが再燃することもあり,長期的なモニタリングが必要である.診療体系整備への検討は依然大事だ.本セッションでは,最近の循環器関連irAE診療の情報を共有したいと考える.