【目的】抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤であるインフリキシマブ(IFX)は、種々の自己免疫疾患等の治療に用いられ、近年はIFXバイオ後続品(IFX-BS)が複数開発されている。IFX先行品(IFX-R)との同等性については、市販後の臨床研究でも示唆されているが、本邦における一部のBSの普及率は低く、リアルワールドにおける適応症別の同等性に関するデータの蓄積は十分にはない。本研究では、日本の医療情報データベースを用いて、IFX-BSの使用状況と共に、主な適応症別に、治療継続期間や有害事象の発現について、IFX-BS1とIFX-Rとの間で比較し、臨床上の差の有無について考察することを目的とした。【方法】JMDC医療機関データベース(2014年4月~2022年10月)より、IFX処方症例データ(全6340例)を抽出し、製剤別の処方総数の年次推移を調査した。次に、IFX-BS1単独群(651例)を対象に、主な適応症別に、2年間までの治療継続期間について、背景(年齢層、性別、合併症)で調整した比例ハザードモデルを用いてIFX-R単独群(4976例)と比較し、処方開始から最終処方後14日までの主な有害事象ついては、ロジスティック回帰分析にて評価した。【結果・考察】IFX-BS(BS1~BS3)の処方総数は、2015年(0.5%)から2022年(23.7%)にかけて徐々に増加していた。治療継続期間は、関節リウマチ(1430例)及びクローン病(2287例)の症例では、IFX-BS1単独群はIFX-R単独群より短期であったが、新規(60日以上のIFX前処方無し)の症例では有意差は無かった。アナフィラキシーの発現は潰瘍性大腸炎(1659例)で有意に高かったが、主要な有害事象である感染症及び呼吸器疾患の発現は、関節リウマチ、クローン病及び潰瘍性大腸炎で、IFX-BS1単独群の方がIFX-R単独群より低い傾向にあり、新規症例において、これらの傾向はより顕著であった。【結論】本結果より、IFX-BSの普及はなおも限定的であるが、IFX-Rと比較して、適応症ごとに治療継続性や有害事象の発現割合に違いが見られる場合があり、その要因の一つに治療歴の有無が寄与している可能性も示唆された。さらに症例数を蓄積し、適応症ごとの治療継続性や有害事象の発現に影響する要因について、より詳細な分析が必要である。