【目的】
広島大学病院では、2020年より広島臨床研究開発支援センター薬剤師(以下、センター薬剤師)が臨床研究に使用する医薬品(以下、臨床試験薬)を管理している。治験薬管理に精通したセンター薬剤師でも、治験ではセンター薬剤師が実施していない業務や、治験と異なる手順が臨床試験薬管理には含まれる場合があり、これに起因するインシデントが発生した。今回、手順の見直しを含めた業務改善への取組みを報告する。
【方法】
2021年4月~2023年6月にセンター薬剤師が支援した10研究を対象に業務内容を調査し、センター薬剤師が治験で実施していない業務や治験と異なる手順を分類・集計した。また、発生したインシデント事例を抽出し、再発防止策を検討した。
【結果・考察】
センター薬剤師が実施していない業務に、医師又は患者への薬剤の払出しがあり、7研究該当した。治験と異なる手順はオーダリングシステム(以下、システム)への処方区分の異なる薬剤登録、通常診療では自動発行となる内服抗がん薬の薬品情報提供書作成があり、それぞれ6研究、1研究が該当した。これらが1つ以上ある研究は10研究中8研究であった。また、発生したインシデント事例は2件あり、事例1は被験者への払出し手順を把握しておらず、医師より患者に臨床試験薬交付の説明がなかったため受け取る前に帰宅しかけた事例、事例2はシステム登録に不備があり、処方時に登録修正した事例であった。以上より、多くの臨床試験薬管理で治験では実施していない又は治験と異なる手順が含まれることが明らかになった。今後、臨床試験薬管理件数の増加に伴い該当業務が増えると予想されたため、インシデント発生リスクが高い業務には手順書やツールを作成し、関連職員に共有する必要があると考えた。事例1には、患者払出しまでの詳細を記載したフローチャートを作成し医師へ共有した。事例2には、システム登録用の手順書を作成した。対策実施以降、同様の事例はなく再発防止に寄与できたと考える。今後は治験でCRCが担っていた業務を医師とセンター薬剤師で分担する際の情報共有ツールの作成や業務の更なる標準化を目指し、各研究で作成した手順を集約した臨床試験薬管理マニュアルの作成が必要と考える。
【結論】
治験と異なる手順を含む臨床試験薬管理では、フローチャートや手順書を作成し関係者と情報共有できるツールを運用することで業務の質の向上につながる。