目的
治験アンバサダープロジェクトは,医薬品の開発や治験について,製薬関連企業と患者・市民の相互理解を深めるため,教育・対話の場を提供する患者団体向け教育プロジェクトである。
方法
2022年,患者団体,アカデミア,複数の製薬関連企業で治験アンバサダープロジェクトを日本で開始した。本プロジェクトチームは,患者(患者団体代表者等)を対象に,EUPATIの協力で準備したクラスルーム型トレーニング等を実施した。トレーニングを受けた患者は,患者団体内で治験のアンバサダーとなり,患者・市民の治験認知度向上,治験啓発の方法を製薬関連企業とともに模索した。
結果
次の4ステップのトレーニングを完了した。1)患者団体に治験アンバサダーを設置し,オリエンテーションを実施する。2)治験アンバサダーを対象に,EUPATIの協力で準備したクラスルーム型トレーニングを実施する。3)治験情報のアクセスに関するハンズオントレーニングを実施する。4)治験アンバサダー活動の振り返りワークショップを実施し,治験認知度向上,治験啓発の方法を模索する。
次の成果が得られた。医薬品開発の基礎,医薬品開発への患者参画に関し、患者団体との意見交換を踏まえ専門的な内容を学べるトレーニングプログラムを実装した。
本プロジェクト実行にあたりいくつかの課題点を特定した。1)他の同種の患者教育プログラムと比較した場合の特色,優位性の検討,2)トレーナーの要件や治験アンバサダーの認定制度の有無,認証母体,認定基準,3)治験アンバサダーとなる患者団体の選出方法,4)共催企業が自由に加入・脱退ができる仕組みづくり。
結論
医薬品の開発や治験において,製薬関連企業と患者との相互理解を深める日本における治験アンバサダープロジェクトの初年度トレーニングプログラムを完了した。患者の意見が反映された新しい治療をより早く患者に届けるため,医薬品開発への患者参画,患者の医薬品開発への正しい理解を促すことが重要である。