【目的】三重大学医学部附属病院(以下、当院)では、薬学生の病院実務実習の一環として治験教育を導入し、講義のみならず臨床研究コーディネーター(CRC)の業務の一環としての被験者対応、臨床開発モニターとの対応の見学等を実践している。本研究では、臨床研究開発センターにおける実習の取り組みを薬学生へのアンケートにより評価し、今後の治験及び臨床試験に関する教育の改善に繋げるものとする。【方法】2011年~2022年に当院で実習を行った薬学生240名を対象に、実習前後で治験及び臨床試験に対する理解に関するアンケート調査を行った。臨床試験の各相に関する記述回答を点数化し、理解度を評価した。実習前後での治験及び臨床試験に係わる言葉の理解度の評価にクロス集計を、前後比較にWilcoxonの符号順位和検定を用いた。p<0.05を有意差ありとした。【結果・考察】対象学生240名のうち、239名(99%)が「治験及び臨床試験」を聞いたことがあると回答した。主な情報源として、219名(90%)が「授業等の講義」と回答した。実習前のアンケートにおいて、第1-4相試験の内容について全て正しく回答した学生は52名(22%)であり、CRC業務を行うことが可能な職種として「誰でもなれる」と回答した学生は7名(2.9%)であった。CRCの業務内容に関しては、「治験を円滑に行うサポート」47名(20%)、「治験の説明」40名(17%)と理解が得られていた一方、「治験計画書の作成」40名(17%)と依頼者等の業務内容の回答もあった。治験及び臨床研究に係わる言葉の理解度に関しては、実習前より「被験者」「インフォームドコンセント」「プラセボ」は9割を超えていた。その他の言葉については、実習後の理解度は実習前より有意に上昇したが(p<0.001)、「負担軽減費」「追跡期間」「監査」「直接閲覧」においては実習後も「理解している」と回答した学生は8割に及ばなかった。大多数の学生が治験及び臨床研究に関する授業等の講義を受けている一方、実習前の理解は十分ではなかった。実習後にも学生が理解しにくいと感じている用語の説明をより丁寧に行い、学んだ知識を深い理解に導くことが効率的かつ有意義な実習に重要であると考えられた。本研究結果を鑑み、更なる実習内容の充実を図り、創薬や育薬の知識や重要性を次世代に繋げていく必要がある。【結論】治験実習により、治験及び臨床研究に係わる言葉やCRCの業務内容に対する理解の向上に寄与したと考えられた。