【背景・目的】近年、本邦においても研究への患者・市民参画(PPI)の取組みは重視され、がんや難病をはじめとする疾患領域において、研究者が患者・市民と対話し臨床開発のプロセスに患者・市民の意見を活かした研究を計画する試みが進んでいる。PPIにより倫理的に配慮された研究の計画及び円滑な研究の実施につながり、患者等にとってより貢献される研究成果が創出されることが期待され、AMEDの活動を中心に、その必要性は周知されつつある。一方で、小児の神経難病領域において、患者家族にどの程度認知され、どの様にとらえているのか等について把握しきれていない。本研究では、研究へのPPI促進の課題及び改善が必要な事項を把握することを目的に、デュシェンヌ型筋ジストロフィー「以下、DMD」の小児患者の家族を対象にアンケート調査を行った。
【方法】患者レジストリRemudyの6歳~17歳のDMD患者の家族546名に無記名記入式の調査票を発送した。医薬品等の開発を目的とした治験及び臨床研究に対するPPIを対象とし、調査票の冒頭でPPIの具体例について説明した。実態・意識調査の結果から課題及び改善が必要な事項を抽出した。
【結果・考察】2022年11月24日~2023年3月26日に177名から回答を得た。うち6名はPPIではなく、被験者としての治験参加に関して回答しており、集計対象から除外した。PPIの活動に関する認知度は「内容まで知っていた」は16名(9.4%)にとどまり、「聞いたことがなかった」は81名(47.4%)と約半数を占めていた。参加経験は家族 11名(6.4%)、患者 7名(4.1%)にあり、内容は「来院スケジュール・評価内容の検討」が最も多かった。一方で、機会はあったが、参加に至らなかった家族は18名(10.5%)、患者は11名(6.4%)であり、理由は「内容や目的がよくわからない」、「本人に見せたくなかった」との回答も見られた。認知度は高くないものの取組みはされていたが、アプローチの方法に改善の必要があると示唆された。今後PPIに参加したいと「思う」又は「どちらかといえば思う」は157名(91.8%)と多くが前向きであり、今後の促進に期待はできた。自由記述欄では、治験情報を望む声、根本治療がないと切実な思いも寄せられた。その気持ちに寄り添ったPPIを検討していく必要がある。
【結論】本研究結果をもとに、患者のPPIに対する理解やその課題が明らかになったことから、この結果をもとに希少疾患領域でのPPI促進を図りたい。