演者は膠原病リウマチをサブスペシャリティとする、内科医である。最初の5年間は臨床医として病棟で働くこと以外に、さまざまな仕事の選択肢があることをあまり意識せずに、目の前の仕事に奮闘する日々であった。
一つ目の転機は大学院での基礎研究の経験である。振り返ればそれまでの自分は標準治療、レジメンのユーザーでしかなかったが、治療の進歩に研究者としてどのように貢献できるのだろうかと考えるようになった。
二つ目の転機として、診療に加え、臨床研究推進・支援部門で経験を積ませていただけることになったことである。治験や臨床研究、倫理的な観点についての学び、自身の専門診療科に限らない幅広い人との出会いが多く、より具体性を持って、新しい治療が現場に届くまでの道筋を意識するようになった。臨床薬理学会への入会もこの頃であり、この分野をキャリアとして考えるきっかけとなった。現在は、人事交流ということでまた新しい場での勤務を経験させていただいており、三つ目の転機であるかもしれない。
個人的には、出産後、子育てと仕事を両立させることの難しさを痛感し、特に産休中は社会から取り残されたような気持ちになり、専門医や研究者としての道がこのまま断たれてしまうのではないかという、漠然とした不安を感じたものである。同じような状況の同僚と、互いにエンカレッジしながら、また何より周囲の支援や理解によって、なんとか働き続けることができている。演者が研修医時代、自診療科の教員は男性ばかりであり、現在の自身の働き方は想像できていなかった。後方視的に思い返してみれば、ジェンダー役割の固定観念が自分の中にも無意識にあり、自分を制限してしまっていた時もある。それを気づかせてくれたのは、さまざまな場における男女共同参画やダイバーシティなどの取り組みの増加ではないかと思う。ロールモデルとなるような諸先輩方の多様なキャリアを知ることで、驚いたり、一方で共感したり、励まされたりしながら、現在進行形で自分の道を模索中である。