ミクログリアは成体脳においても高い再増殖能力を持つ。ミクログリアの生存にはコロニー刺激因子1受容体(CSF1R)を介したシグナルが必要であり、CSF1RアンタゴニストのON/OFFによってミクログリアの除去/再増殖が可能で、これにより生体脳内のミクログリアを置換することができる。このミクログリア置換プロトコル(「RESET」)を用いて、アレキサンダー病(AxD)に対する効果を示す。AxDはGFAPの変異によって引き起こされる原発性アストロサイト病であるが、ミクログリアの活性化もAxD脳で起こる。神経変性疾患や精神疾患の多くでミクログリアの活性化が認められ、これらが神経炎症を起こすことで上述脳疾患の発症や増悪が引き起こされることが知られている。そのため、ミクログリアの活性化抑制あるいはミクログリアの除去がこれら脳疾患の治療戦略のひとつと考えられている。しかし、CSF1R拮抗薬によるミクログリアの除去は、AxDの病態を悪化させることがわかった。これは、ミクログリアあるいは少なくともその一部の集団が、AxD病態において有益な役割を果たしていることを示唆している。われわれは、ミクログリアの除去ではなく、RESETがAxD病態を改善することを見出した。したがって、ミクログリアの補充は、AxDおよびおそらく他の神経疾患に対するより良い治療戦略である可能性が示唆される。また、RNAseq解析により、ミクログリアのRESETによる治療効果の基礎となるメカニズムについても報告する。さらに、完全非侵襲的な移植法により、外来性ミクログリアに置換する治療戦略についても報告する。