【目的】昨今、新型コロナウイルスおよびサル痘ウイルスの感染が世界的に流行し、日本における迅速なワクチンの開発は急務となっている。国立国際医療研究センター(以下、NCGM)は感染症領域における多数の臨床研究の実績を有し、上記2種類の感染症に対する特定臨床研究も実施している。今回、依頼から研究開始まで約1ヵ月間という迅速な支援が求められた2研究について、臨床研究企画室(以下、当室)の取り組みを報告する。【方法】いずれの研究も健康成人に試験薬(ワクチン)を接種して血液中の中和抗体価や安全性等を評価するデザインであり、同様の支援内容、実施体制であった。依頼された支援内容は、スタディマネージメント、CRC業務、モニタリング業務、事務局運営などであった。当室の実施体制は、スタディマネージャー1名、事務局運営1名、CRC2名、モニター1名、事務員3名で実施した。その他、事務局運営補助と医療行為の一部(採血)は外部に委託した。各役割に応じて、CRB申請を準備すると同時に看護部や検体解析部門、データセンター等との調整も行った。CRB申請後は、当室全員で運用に関わる内容を協議し、各役割の目線から意見交換を行い支援体制と内容をまとめた。【結果】両試験とも支援依頼~試験薬投与開始までおよそ35日間要した。新興感染症に対応する可能性の高いNCGM職員を対象とし、複数回の研究説明会を開催して多数の症例数(各50例以上)を組入れることができた。現時点では両試験とも不適合報告は0件で、研究計画書を遵守し実施することができている。【考察】今回、同様の研究を経験したことから経験者間で具体的なイメージの共有が図れた。また、関係各所との調整や事務局運営などを早期から具体的に動くことができ、スムーズな支援体制の構築に寄与した。リクルートメント方法は、新型コロナウイルス研究の際はメールにて参加案内を実施し集計を手作業で実施したが、サル痘研究の際はMicrosoft Formsを利用し集計を自動で実施したことで効率化が図れた。また、参加人数の多さから、NCGM職員の研究に対する意識の高さも伺えた。反省点としては、一部重複した業務もあり、より綿密なコミュニケーションの重要さを実感した。【結論】迅速な実施が求められたワクチン関連の臨床研究において、経験を積み重ねることでより適切に支援することができるようになった。