【目的】
ミロガバリンは、電位依存性カルシウムチャネルα2δサブユニットに結合し鎮痛効果を発揮する神経障害性疼痛治療剤である。ミロガバリンの投与対象患者には高齢者や脳卒中患者が多く、嚥下障害を合併しているケースが多い。そのため、通常の錠剤では服薬アドヒアランス低下が懸念される。口腔内崩壊錠(OD[orally disintegrating]錠)は、口腔内で速やかに崩壊し、通常の錠剤より容易に嚥下可能であり、また、水なしで服薬可能であることから、患者の服薬アドヒアランス向上に有用と考えられる剤形である。今回、新規に開発されたミロガバリンOD錠について、既存のミロガバリン錠(標準製剤)との生物学的同等性を検討した。
【方法】
日本人健康成人男性36名を対象として、単一施設、無作為化、非盲検、2群2期クロスオーバー法にて、服薬条件が異なる2パート構成の生物学的同等性試験を実施した(各パート18名)。パート1ではOD錠15 mg 1錠を水なし及び標準製剤15 mg 1錠を水とともにそれぞれ空腹時に単回経口投与、パート2ではOD錠15 mg 1錠及び標準製剤15 mg 1錠をそれぞれ空腹時に単回経口投与し、薬物動態評価のための採血を経時的に行った。血漿中薬物濃度はLC-MS/MSにて測定し、モデル非依存的に薬物動態パラメータを算出した。主要評価項目は生物学的同等性評価パラメータである血漿中ミロガバリンのCmax及びAUClastとした。安全性は、有害事象、臨床検査、体重、バイタルサイン(血圧、脈拍数、体温)、及び12誘導心電図を評価した。
【結果・考察】
日本人健康成人男性を対象にミロガバリンOD錠15 mgと標準製剤15 mgをそれぞれ単回経口投与したとき、いずれの服薬条件でもCmax及びAUClastの幾何最小二乗平均値の比の両側90%信頼区間は0.80~1.25の範囲内であり、生物学的同等性の基準を満たした。また、両製剤間で有害事象の発現頻度又は発現内容に明らかな差はなく、バイタルサイン、臨床検査値、及び心電図では、有害事象として判断された事象以外に臨床的に問題となる変化は認められなかった。
【結論】
新規に開発したミロガバリンOD錠15 mgと標準製剤は生物学的に同等であった。両製剤間の安全性に明らかな差はなく、また新たな安全性の懸念は認められなかった。本試験により、通常錠の服用が容易ではない患者に対して、OD錠というミロガバリンの新たな治療選択肢を提供できる可能性が示唆された。(JapicCTI-205156)