筆者は、沖縄本島より西に約50km、フェリーで片道2時間の人口約300人の島に勤務している総合診療医である。島唯一の医療機関である無床診療所に勤務し、島民の慢性疾患の定期通院から24時間体制の救急対応まで、幅広くプライマリケアを提供している。沖縄県には同様の離島診療所を有する離島が20近くあり、これらの離島に住む島民はその多くが、離島診療所をかかりつけとしている。各種検査や病状の悪化により島外へ受診もしくは搬送となることも少なくないが、かかりつけが集約されているという点において、フリーアクセスの日本においては珍しく、患者の内服や受診形態が一元化されており把握が容易である。この点を活かして、現在、離島を対象としたポリファーマシーの現状を把握する臨床研究を実施中である。今回は、離島におけるポリファーマシーの現状と課題を、臨床研究の結果も踏まえながら考察する。