当院は沖縄本島中部を診療圏として急性期医療を担う病院です。在籍する薬剤師数も30名を超え、委員会活動を主体としたチーム医療に取り組み、業務内容も多岐に渡っています。さて、ポリファーマシーは「多剤併用の中で害をなすもの」と定義されており、特に高齢者では加齢に伴う生理的変化、複数の併存疾患に対する治療薬の併用により、薬物有害事象を生じやすい状態となっている事から、薬物療法を適正化する事が望まれています。また2021年3月には厚生労働省から「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」の通知が発出されるなど、各医療機関において取り組みを開始する事が期待されている現状とも言えます。そんな中、当院のポリファーマシー解消に向けた取り組みは、2017年7月に、ある研修医の声掛けから動き出しました。当時の沖縄県内では、ポリファーマシー対策を実施している医療施設は少なく、前例の少ない取り組みとなりました。ポリファーマシーを解消するには、医師の協力が必要不可欠ですが、医師は日常的に業務負担が大きく、常用薬を見直す時間が不足している状況にあります。近年では、医師の業務負担軽減を目的としたタスクシフトも推進されています。そこで当院では、ポリファーマシー対策を薬剤師が担うべき職務と念頭に置き、対策における一連の流れを薬剤師が中心となり実施できる様に企画しました。ポリファーマシー対策開始までに様々な困難はありましたが、2019年2月より総合内科医師、(精神科医)、薬剤師を中心に構成した「薬剤調整チーム」を立ち上げ、ポリファーマシー対策の活動を行っています。今回は、当院での約2年間におけるポリファーマシー対策の取り組み結果と今後の課題について報告させて頂きたいと思います。