医療技術の高度化や国民意識の変化により、医療安全や感染制御を含む医療の質を適正に評価し確保することが求められており、病院長をトップとしたガバナンス体制の構築および強化が医療に関する施策に盛り込まれています。大学病院は高度な医療の提供、高度な医療技術の開発及び医師、看護師、薬剤師をはじめとする医療従事者の育成など様々な役割を果たしています。東京医科歯科大学病院では、2015年4月にクオリティ・マネジメント・センター(QMC)を開設いたしました。QMCでは東京医科歯科大学病院の医療を可視化するi-Kashikaプロジェクトとして、組織運営の透明化や社会への説明責任を果たすため、その体制(ストラクチャー)や過程(プロセス)、成果(アウトカム)の可視化を進めているところです。具体的には、DPCデータ等の医療データを用いたに診療及び経営の質の可視化、Quality Indicatorの開発・計測、分析結果に基づいた医療の質改善活動の支援に取り組んでいます。また、国立大学附属病院医療安全管理協議会においても、指標を用いた可視化と取り組みが進められており、国立大学病院データベースセンターと共同した医療安全指標プロジェクトが開始され、2021年より各大学への指標計測結果のフィードバックが開始されています。本シンポジウムでは、東京医科歯科大学病院における医療の可視化の実際や、医療現場の行動変容のエビデンスとして活用していただきやすくなるような資料作成、周知の実際等にも触れつつ、国立大学病院の医療安全指標を活用の実際についてもご紹介します。