ひとつの開発基盤を利用して効率よく後期臨床試験の開発を促進するための方法論が世界中で広まっており、マスタープロトコールと呼ばれる臨床試験デザインが注目を浴びている。特に、昨今のゲノム診療の推進に伴いがんの病態分類はさらに細分化され、希少がんや分子的希少フラクションを有するがん種では、より効率性を重視した臨床試験が求められる。並行して、リアルワールドデータの利活用も増えつつある。限られた対象への臨床試験、治験コストの削減、レジストリデータの利活用、蓄積された経験値とデータの次開発への利用、企業・患者会との連携、当局へのアプローチ法等、いずれも効率的な開発を目指すには欠かせない要素である。産官学の協同のもと、マスタープロトコールおよびレジストリの利活用が開発促進のカギとなる。本講演では複数の製薬企業が参加するMASTER KEY Projectを事例に国内アカデミア発プラットフォーム試験の実施状況について紹介する。レジストリデータベースを構築しながら、複数の医師主導治験もしくは企業治験を実施することにより希少がんの効率的な開発を目指している。