医療者に求められる医療倫理学や臨床倫理学の内容は、医療や周辺技術の進歩、社会通念の変化に伴って常に変化している。また現実社会で同じケースは存在しないこと、関係者もその価値観も多様であることなどから、それらへの対処には非常に高いスキルや経験が必要で、近寄りがたいものに思えるかもしれない。その学習にすら気後れする事も多いと思う。しかし、そのような事柄への対処方法は案外簡単で、基本に立ち返る事だと考える。この講習では「倫理学は論理的に考える」事を倫理学の基礎からの学習で理解した上で、生命倫理学・臨床倫理学の学習に繋げられる事を目指した。回り道に感じられるかもしれないが、基礎的内容の学習が皆様の医療倫理への理解を深め、臨床応用に役立てていただければ幸いである。