【背景】高齢化社会の進展とともに、日本では心不全の診断で治療を施す患者の高齢化も進んでいる。現代の実臨床におけるトルバプタンを投与する患者集団についての報告は少ない。【目的】高齢化している心不全患者におけるトルバプタンの投与実態を明らかにする。【方法】2019年1月から12月に国立病院機構横浜医療センター循環器内科に心不全の診断で入院した223名を対象に、トルバプタンを使用した患者背景を後方視的に検討した。【結果】心不全患者223名に対して、トルバプタンは185名(83%)に投与されていた。患者年齢は81[74-86]歳と高齢で、左室駆出率は44[30-59]%と低値であった。退院時の腎機能は入院時から悪化を認めなかった。【考察】トルバプタンは水利尿薬であるため血行動態に与える影響がループ利尿薬よりも少なく、高齢者や低心機能患者が多いからこそ使用率が高いと考えられた。【結論】対象とした心不全入院患者は高齢で、比較的多くの患者にトルバプタンが投与されていた。合併疾患の多い高齢者における安全性についてさらなる検討が必要である。