【目的】睡眠障害はパーキンソン病(PD)患者の多くにみられる非運動症状の一つであり、PD患者のQOL低下に関連している。PD患者の睡眠障害における要因や症状は多彩であり、対応が困難である場合も少なくない。ゾニサミドは自記式質問票を用いた評価により、PD患者における睡眠障害の改善に有効である可能性が報告されている。本研究の目的は、PD患者におけるゾニサミドの有効性に関して、終夜睡眠ポリソムノグラフィ(PSG)による客観的な評価を含めた検討を行うことである。【方法】2019年3月から2020年6月にかけて、ゾニサミドを内服していないPD患者を対象とした単施設非盲検試験を行った。ゾニサミド開始前および開始12週後に、PSGおよび睡眠自己評価(Epworth Sleepiness Scale、Parkinson's Disease Sleep Scale-2)、PD症状評価(Movement Disorder Society-Sponsored Revision of the Unified Parkinson’s Disease Rating Scale)、認知機能検査(Mini-Mental State Examination、Montreal Cognitive Assessment)を行った。【結果・考察】PD患者7人が本試験に参加し、6人の患者(男性3人、平均年齢76.8±6.5歳、平均罹病期間5.3±3.6年)が12週後の評価を完了した。PSGでは、Stage N1は31.9±21.0%から23.0±22.9%へ減少傾向で(p=0.063)、Stage N2は56.5±21.5%から67.3±18.9%へ有意に増加した(p=0.031)。また、ベースライン時にはいずれの患者もStage N3がみられなかったが、12週間後には6人中3人にStage N3(1.1-5.4%)を認めた。一方、睡眠自己評価を含め、その他の検査では有意な改善はみられなかった。【結論】本研究は小規模ではあるものの、PSGによる客観的な評価により、ゾニサミドがPD患者の睡眠障害に有効である可能性を示した。