【目的】治験や臨床研究に関する情報が登録・公開されている臨床研究等提出・公開システム(Japan Registry of Clinical Trials:jRCT)と臨床研究情報ポータルサイト(Japan Primary Registry Network:JPRN)の臨床試験情報データベースについては、登録情報に対する検索性能向上の必要性が指摘されている。本研究では、国内外の臨床試験登録レジストリが提供している検索機能について内容を整理し、jRCTとJPRNの検索性の向上に必要な事項について検討することを目的とした。
【方法】国内外の臨床試験登録レジストリを対象に、検索画面の仕様と機能、検索項目について比較・検討を行った。検索に係る仕様と機能の比較は「検索画面の配置」「簡易検索画面」「詳細検索画面」「検索後の絞り込み(フィルター)機能」「検索結果の表示」「実施医療機関」「モバイルユーザビリティ」「検索マニュアルの有無」の8つの観点から行なった。検索項目の比較は、米国のClinicalTrials.gov(CT.gov)の検索項目を基準とした。
【結果・考察】国内外の臨床試験登録レジストリが提供する検索機能に違いがあることが認められた。検索画面の配置は、CT.govやJPRNのようにトップページに設定しているレジストリと、jRCTのようにトップ画面とは別の画面を設定しているレジストリとに分かれていた。本研究で検討した臨床試験登録レジストリは検索に関する複数の機能を実装していたが、米国のCT.govは特に豊富な機能を有していた。国内のレジストリでは、JPRNが多くの検索機能と検索項目を設定していた。jRCTは他のレジストリと比較し検索画面の構成と機能に不足が認められた。jRCTは検索後の絞り込み機能や検索用語の入力補助機能、検索マニュアルの整備等に対応していなかった。詳細検索の検索項目の設定についても、年齢や依頼者、資金提供、開始日等の日付などの項目設定や疾患グループによる検索機能の追加が必要であると考えられた。
【結論】jRCTには検索画面の設置場所や簡易検索の追加、詳細検索の項目追加等の検索に係る仕様や構成の変更を行うことが適切である。JPRNについては既に多くの機能を実装しており、既存の機能の向上やアップデートの検討が望まれる。