【目的】日本国内で臨床研究を実施する場合、我が国特有の法規制等に則って行われる必要がある。しかし、これまでこれらを英語で学べる機会は少なかった。CREDITS(Clinical Research EDucation and Interactive Training System)は、東京大学を中心に大学病院臨床試験アライアンス(関東甲信越の9つの国立大学病院による臨床研究ネットワーク)で開発を行ってきた、臨床研究に関するeラーニングコンテンツの受講や、セミナーへの申込等ができる複合型学習システムである。今回CREDITS eラーニングコンテンツの英語翻訳を行い、研究倫理や、日本における臨床研究の規制や実施体制について、英語で学べる機会を提供する取り組みを行ったので報告する。
【方法】はじめに、CREDITS eラーニングコンテンツの基となっている「臨床研究者シラバス・学習目標」(国立大学附属病院臨床研究推進会議(教育・研修グループ:TG4)において2015年に発表)の改訂・英語化を行った。次に、CREDITSに掲載されている初級者向けeラーニングコンテンツ「シラバス準拠コース」のうち「倫理・行動規範コース1-3章」と「臨床研究実施コース4-12章」のスライドと設問の英語化を行った。
【結果】「臨床研究者シラバス・学習目標」の改訂・英語化を行い、TG4において承認を得た後、初級者向けeラーニングコンテンツ「シラバス準拠コース」1-12章のスライドと設問の英語翻訳を実施した。2021年4月よりCREDITS契約施設・アライアンス加盟校・一般利用者に向けて段階的に公開を開始した。2022年7月時点で、英語版eラーニングコンテンツをのべ171名が受講している。
【考察】英語翻訳の際には、特に日本特有の規制(倫理指針・臨床研究法等)の解説に苦心した。また、同じ用語を表現する際に、日本語と英語では文字数が異なるため、レイアウトの修正にも時間を要した。英語版eラーニングコンテンツ「シラバス準拠コース」1-12章は、公開から1年余りが経過し、当初の予想を超える人数の受講者に、英語での臨床研究教育を提供することができた。今後もCREDITSのコンテンツやホームページの英語化を進め、国際共同治験や臨床研究の国際化の推進の一助となればと考える。
【結論】CREDITS eラーニングコンテンツの英語翻訳を行い、臨床研究について英語で学べる機会を提供した。