[目的] 最近我々はROCK阻害剤であるネタルスジルによる視神経軸索保護効果にオートファジーが関与することを報告した。ネタルスジルはさらにリン酸化AMPKを上昇させ、オートファジーを促進させていることも見出した。今回、他のオートファジー関連因子としてmTORに近いRaptorとその下流因子P70S6Kの変化を視神経で検討する。[方法] 8週齢雄性ラットの片眼に10 ng TNFもしくは20pmol ネタルスジル、もしくは同時投与し、もう片眼にはコントロールとしてPBSを硝子体投与した。1週間後視神経付きの眼球摘出し、視神経をサンプルにウェスタンブロットを行った。抗体としてリン酸化P70S6Kとリン酸化Raptorを使用した。[結果] 視神経にリン酸化P70S6Kが発現することを確認した。コントロール群に比してTNF群で有意な変化はなかった。またネタルスジル単独でもTNF同時投与でも有意な変化はなかった。一方リン酸化Raptorはコントロール群に比してネタルスジル群で有意な変化はなかった。[結論] ネタルスジルのオートファジー促進にはリン酸化Raptorとリン酸化P70S6Kを介さないことが示唆された。