ICHの活動が開始されてから20年以上が経過し、E8ガイドラインを皮切りとして、E6ガイドラインであるGCPも大幅な見直しがなされている。E8R1ガイドラインにおいてはCritical to Qualityの観点から被験者保護とデータの信頼性確保を志向するQuality by design(QbD)による計画・質の確保と、実施可能性を考慮したリスクに基づくアプローチ(RBA)の実践が求められている。昨今の治験あるいは臨床研究は非常に複雑化、多様化している。本来、目指すゴールによって求められる品質は異なっており、どのようにして目指すべき品質と試験の実施をバランスするか、そして どのように質を確保するプロセスを組み込むかは大きな課題であるが、その方法論やプロセスアプローチに関して、治験依頼者とCRO、医療機関での対応は三者三様であり、試験マネジメントにおける質の確保は、昨今大きな課題である。本来、1試験を通して品質目標やゴールは共通していなければならないが、あるプロセスでは1つのミスもなく実施することを求められたり、本来重視するべきポイントがCROや医療機関に伝わらないなど、計画と実務での壁があったり、対話があまりなされてきていないなどの課題がある。そこで本講演では、E8R1時代の臨床試験の質確保については何がどう変わるのかを中心として、特にQuality by Designによる質の組み込みとプロセスのあり方についてを概観し、依頼者、CRO、医療機関において、果たすべき役割や協働に向けて必要な要素を検討する。