薬理学ロールプレイ(以下、ロールプレイ)は、学生が医療者役、患者と患者の家族役に扮して模擬診療を行う学生主体型ロールプレイであり、実践的薬物治療教育を目的としている。従来、薬理学ロールプレイは1大学内で対面形式により実施されてきた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けてオンライン形式での薬理学ロールプレイが開講され、最近では、新しい試みとしてオンライン講義の強みである遠隔地間の相互学習を活用した2大学間での薬理学合同ロールプレイの試みも進められている。現在までに、オンライン型ロールプレイの学習効果や合同ロールプレイの実施についての報告はあるものの、2大学間でオンライン型合同ロールプレイを実施し、その学習効果を1大学で実施したオンライン型ロールプレイと比較検討した報告はない。高知大学と愛媛大学は2020年度にそれぞれ1大学でオンライン型ロールプレイを実施し、2021年度に2大学合同のオンライン型ロールプレイを実施した。対象学生は薬理学を履修している高知大学医学部医学科3年生と愛媛大学医学部医学科2年生とし、配信プラットフォームはzoomミーティングを用いた。2症例の課題に対して医師または患者・患者の家族に扮して学生が病気や薬物治療の説明を行い、課題ごとにロールプレイが終わると見学していた学生はロールプレイ内容について討論した。全ての課題が終了した後、参加学生全員を対象に事後アンケートを行った。アンケートは「病気や治療(薬物治療)の学習に役立ちましたか?」、「患者の気持ちを理解するのに役立ちましたか?」、「医師になるための心構え、モチベーションの向上に役立ちましたか?」、「これからの学習姿勢に変化があると感じましたか?」の4つの質問に対する5段階評価と自由記述を設けてロールプレイの感想を尋ねた。本講演では、各大学のロールプレイ実施形式における学習効果を分析するため、各大学の年度ごとの各質問に対する5段階評価を集計し、更に5段階評価と自由記述をテキストマイニングのソフトウェアを用いて共起ネットワーク分析と階層的クラスター分析を行った結果を紹介する。