臨床研究を企画、遂行する研究責任医師にとって、リサーチクエスチョンが最大の関心であり、どうしても科学性の議論にウエイトが傾いてしまう。もちろん、医学領域における臨床研究には、臨床での不確実性を明らかにするという使命があり、研究責任医師がそこに集中するのは当然である。しかし、臨床研究は研究者の興味だけで許されるものでなく、科学性とともに倫理性と信頼性が担保されなければいけない。そこには被験者保護とともに臨床研究実施のために体制やプロジェクトマネジメント、データマネジメント、また研究全般を通しての品質マネジメントなどが要求される。質の高い研究は国民の健康福祉に貢献する。一方、質が低いとその結果はミスリーディングされるばかりでなく、国民に不利益を与えてしまうことになりかねない。どんなに高い科学性を持ったリサーチクエスチョンであっても、研究手法が悪ければ、研究者のみならず国民にとっても不幸な結末となる。研究責任医師は医療の専門家であっても研究倫理から臨床試験システムすべてに精通しているわけではない。この研究者の思いを実現するため、研究責任医師ら研究者のイーブンパートナーとして伴走していただける臨床研究専門職に期待するところである。