近年、医療の中で薬物療法とそれを支える臨床薬理学の重要性が高まっており、薬物の人体における作用と動態を研究し、合理的薬物治療を確立するための科学である臨床薬理学を担う人材の育成が益々求められています。臨床薬理学集中講座は、若手の医師及び薬剤師等が臨床薬理学を体系的・集中的に研鑽する場となり、臨床試験を通じたエビデンスの創造・発信のできる医療従事者・研究者の育成を目指して2016年より開講し、今年度は第6回がWebにて開催されました。受講生は、臨床薬理学について本講座で体系的に学び、受講後その知識を活かせる臨床研究の場が必要と考えられます。そこで本セミナーは、臨床研究を共同で立ち上げ、スタートできるようにすることを一つの狙いとし、本講座参加者メンバーにより、共同研究をこれまでに2本計画してきました。今回は、研究実施準備中のポリファーマシーに関する共同研究と現在実施中である、抗がん剤誘発末梢神経障害の予防に関するドラッグリポジショニングの多施設共同研究の進捗や今後の展望などをご紹介し、昨年度までのフォローアップセミナーにて抽出されてきた課題を振り返りながら、参加者の皆さんと臨床薬理学を通じた実践的な活動や、今後の臨床研究について討論できたらと思います。また、昨年度から引き続き新型コロナウィルス感染症が終息していないことから、多施設共同研究の実施が容易ではない状況が続いています。しかし、本共同研究では、Webツールなどを積極的に取り入れながら、可能な限り多施共同研究の進展を図るべき工夫も行っており、本共同研究で行ったツールや工夫などを紹介し、臨床研究を共同研究として進める場合の実践的な知恵や工夫を共有できる場にできたらと思います。本セミナーにて、臨床薬理学を軸とした臨床研究の開始や参加者の臨床研究をブラッシュアップいただける場になるように、より多くの方々の参加やご意見を頂ければと思います。