【目的】近年臨床研究を行うにあたり、研究者から適切な研究に資する意見を患者・市民らに求め、参画した患者・市民らの意見を取り入れることで、医学研究・臨床試験の現場をよりよいものとすること等を目的とした『患者・市民参画(以下、PPI, Patient and Public Involvement)』が求められている。高用量メチルコバラミンの筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS,Amyotrophic Lateral Sclerosis)に対する第III相試験(以下、JETALS, Japan early-stage trial of high dose methylcobalamin for ALS)は、徳島大学病院脳神経内科が中心となって行った多施設共同医師主導治験である。本治験では早期ALS患者に対する高用量メチルコバラミンの有効性が確認され、治験薬の実用化及び関連した臨床研究においてPPIの概念をベースとした運用を目指している。今回JETALSの付随研究として、PPIの実施に向けたアンケート調査を実施した。
【方法】JETALSに参加した25施設のうち、アンケート調査参加に同意が得られた20施設において治験に参加した患者及びその家族167人を対象に、治験結果公表後にアンケートを送付した。
【結果・考察】2022年7月13日時点で、19施設54人から回答を得た。回答者の35.2%は患者らの回答であった。PPIの認知度は7人(13.0%)であった。PPIへ参加した経験のある方は1人のみであった。PPIへの参加の呼びかけがあった場合は26人(48.1%)が参加すると回答した。PPIに参画しやすくなる要素として、62.7%がオンライン参加可能であることを挙げた一方、謝礼金は7.4%であった。治験・臨床試験についての情報収集は医師(70.6%)、インターネット(54.9%)、新聞・雑誌(15.7%)から行っていた(回答者51人)。本邦においてPPIについての認知度は未だ十分ではないものの、JETALSに参加された患者又はその家族からの参加の意思はある。参加に際しては、オンライン参加を活用することが求められており、医師・インターネットを介した情報提供が効果的である。
【結論】JETALSの患者及びそのご家族を対象としたPPIに係るアンケートを実施した。結果・考察に述べた以外のアンケート項目の解析結果を加えて報告する。