【目的】現在、小児用医薬品の開発促進に向けた取組みが国内外で進められている。本研究では、アンメットニーズが高い疾患分野の一つである「がん」に着目し、日本と米国での小児抗悪性腫瘍薬の承認状況を比較し、また、国内外における小児抗悪性腫瘍薬の臨床試験の実施状況を調査した。これらを踏まえて、小児に対する抗悪性腫瘍薬の開発促進の方策について考察することを目的とした。
【方法】2006年から2021年5月末までに日本及び米国の各々で承認された抗悪性腫瘍薬を、医薬品医療機器総合機構及び米国食品医薬品局のウェブサイトから特定し、当該承認において小児に対する使用が可能となったことが確認できた薬剤を抽出した。対象薬剤について、承認日、対象がん種等の情報を収集するとともに、相手国での承認状況を調査し、比較した。更に、本邦での審査報告書等からピボタル試験のデザインを調査した。また、臨床試験データベース(ClinicalTrials.gov、JAPIC等)に基づき、国内外における小児抗悪性腫瘍薬の臨床試験情報を抽出し、集計・分析した。
【結果・考察】研究対象期間に日本及び米国で承認された抗悪性腫瘍薬の小児適応数は、それぞれ28、36であった。日本で承認された28の小児適応のうち11適応については米国でも同じ小児適応が承認されており、6適応は同じがん種の成人適応のみ承認されていた。一方、米国で承認された36の小児適応のうち日本でも同じ小児適応が承認されていたのは7適応であり、同じがん種の成人適応のみ承認されていたのが11適応であった。本邦での小児適応取得時のピボタル試験については、小児を含んだ臨床試験未実施(11適応)、海外試験(9)、国内試験(6)、国際共同試験(2)の順に多かった。小児抗悪性腫瘍薬の臨床試験については、ClinicalTrials.govでは1313試験が特定された。今後、JAPIC等での国内での臨床試験の特定や内容の精査を行った上で、小児抗悪性腫瘍薬の臨床試験の状況を整理し、結果を報告する予定である。近年の小児に対する抗悪性腫瘍薬の承認数は日本と比較して米国で多く、この背景の詳細について今後調査していく必要がある。
【結論】日本における小児抗悪性腫瘍薬の開発促進に向けて、国際共同試験を含む海外臨床試験データの外挿など、関係者の積極的な取組みが期待される。