【目的】
当センターでは、2020年11月から医療法に基づいた未承認新規医薬品等評価委員会(以下、委員会)を設置した。緊急審査が多いことについて、小児領域特有の問題があるか検討を行い、2021年の第42回臨床薬理学会学術総会において報告した。今回は、その後1年間の状況について追加の報告を行う。
【方法】
委員会設置後の審査回数、緊急審査回数を集計するとともに、審査案件の内訳を精査する。
【結果】
定例の委員会は、2021年度までは月1回開催、2022年度から月2回開催としている。緊急で使用する必要がある場合は随時緊急開催している。それぞれ開催回数は、2020年度:定例5回 緊急4回、2021年度:定例11回 緊急16回、2022年度(7月末時点):定例7回 緊急1回だった。審査件数は計51件で、申請理由は、成人では承認されているが小児は適応外:3件、他の疾患に承認されているが使用したい疾患に成人・小児ともに適応外:36件、海外で承認されているが国内未承認薬:11件だった。委員会審査後に、薬事承認を得られたものはなかった。対象疾患は、血液腫瘍11件、感染症9件、呼吸器6件、消化器6件、循環器5件、外科4件、血液内科2件、麻酔科、新生児科、耳鼻科、神経内科、内分泌代謝科、アレルギー科が各1件であった。また、実施期間は原則、最大1年間としているが、1年を越える使用が必要として期間延長の申請がされた案件は、23件のうち13件だった。
【考察・結論】
小児科診療で使用する医薬品は、小児適応がないことが多い。これに加え、当センターの特性として、他に治療法がなく緊急を要する難治性の希少疾患が多く、緊急での開催が多かった。今年度から月2回開催としたことと、余裕をもって申請することを院内に周知したこと等により開催回数は減少したが、申請件数に大きな変化はない。そのため、小児医療において、適応外使用が日常的に行われている状況は改善がないと考えらえる。
小児医薬品開発においては、治験が進まない状況であり、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議や小児医薬品開発支援ネットワーク事業など、小児医薬品開発を推進してはいるものの、まだ十分とは言えない。委員会の審査対象となる未承認薬や適応外薬の使用実態について情報共有することで、小児医薬品開発の推進につながる活動を継続することが必要である。