【目的】
東京大学医学部附属病院では2010年より臨床研究コーディネーター(CRC)の集合研修を行ってきたが、新型コロナ感染症の影響により2022年度はWeb形式にて開催した。本研修では研修参加者(以下、参加者)間のコミュニケーションを通じた施設間の繋がりを構築することも重視してきたため、一般的なWeb会議システムに加えてコミュニケーションのためのバーチャル空間を用意し、その有用性を検証した。
【方法】
全国の国公私立大学病院のCRC(予定者含む)78名を対象として、4日間の研修を開催した。
一般的なZoomを用いた運用に加え、ビジネス版メタバースの一種であるoViceを用いたバーチャルな研修会場を予め構築し、研修期間中は参加者間の交流のため会場への出入りを自由とした。開催前には利用方法に関する案内文書を配布した上で、接続確認を兼ねた説明会を計2回実施した。また接続時の問題の有無や利用に関する質問を受け付け、トラブル等への事前対応を行った。開催中は、情報交換会と施設のバーチャル見学会をoVice上で行った。その他、昼食時には任意参加の交流会を企画・実施した。研修実施後には運用に関するアンケートを行い、参加者の評価を収集した。
【結果・考察】
メタバース運用にはシステム担当者1名のトレーニングを含め、構築期間の3週間で約11時間半を要した。また総利用料は22,000円であった。
参加者対象の事前接続確認では、67名(回答率85.9%)の回答者全員が同システムの利用経験無しであった。また問合せがあったのは12件であり、マイクカメラ接続に関してが5件と最も多かった。いずれも対処方法について個別に連絡した。
参加者対象の実施後評価では、68名(回答率87.2%)によるシステムを利用した感想は、5段階評価で「良い」が36件(52.9%)と最も多かった。また操作に関しては30名(44.1%)が「やや難しい」、と回答した。システム利用については65%が肯定的であったが、操作については53%が難しさを感じており、類似システム利用経験者が増える事でさらに有用性が上がることを今後期待したい。
【結論】
メタバースの構築と実施は比較的短期間かつ低コストで行う事が出来た。全員が未経験者であったため、事前の案内や説明会等のサポートを要したが、利用に関する評価は概ね良好であった。