【背景】薬学教育モデル・コア・カリキュラムに準拠した学習を通じ、学生は卒業時に、薬剤師として必要な基本的な資質を身に付けていることが求められている。コア・カリキュラムは、教育内容のガイドラインとして提示されており、各大学では特色を活かした教育を行っている。昭和大学薬学部臨床薬学講座臨床研究開発学部門は、治験・臨床研究を実施可能な医療機関内に2021年9月に新設された部門である。『医薬品評価と開発』は、薬学部5年次に在籍する全ての学生を対象に治験実施医療機関内で行う2日間の「体験型」の演習である。1日目は医薬品開発について、2日目は臨床研究について学習する。1日目は(1)医薬品開発フローの学習、(2)治験実施施設の見学のほか、(3)治験業務(CRCやCRA)の模擬体験を行う。2日目は(1)治験と臨床研究の違い、研究倫理について再確認した後、(2)スモールグループでの臨床研究の計画立案を行い、プレゼンテーションを行う。【目的】治験や臨床研究の場での体験型演習が、学生にどのような教育効果があるか、薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版(素案))と対比し考察する。【方法】『医薬品評価と開発』演習が2024年に改訂される薬学教育モデル・コア・カリキュラム(改訂コアカリ)を網羅しているかを横断的に分析・調査した。【結果】本演習は改訂コアカリにおける、「B.社会と薬学」や「D.臨床に繋がる医療薬学」の項目を中心に横断的に教育し、臨床的疑問を持ち、研究立案できる基盤作りとなる。また、「G薬学研究」における研究立案から計画するための能力に必要なエッセンスを習得可能である。【考察】実施医療機関で治験・臨床研究に従事する教員が、学生教育に参画し、医薬品開発や臨床研究のノウハウを教育することは全国的にも珍しい。本演習での「体験」が、卒業後臨床薬剤師として自らが臨床的疑問から研究を立案するための研究マインドの醸成に貢献すると考えられる。在学中から臨床研究についての教育を行うことは、論理的思考力が強化され、熟慮された臨床研究を計画できる薬剤師の育成につながっていくことが期待される。当部門での本演習は開始したばかりであり、より充実した演習にできるようブラッシュアップが必要である。